韮澤 アスカ
大阪生まれ。
2005年 東京藝術大学油画専攻卒業。
2012-13年 インド・バンガロールにて滞在制作・発表
2016年 フィンランド/Artelesクリエイティブセンターにて滞在制作・発表
私は東京藝術大学在学中に油画と版画を専攻した後、世界を旅する事で、様々なインスピレーションを享受して来た。原始的でありながら洗練された世界に私はいつも惹かれてきた。ポストモダン主義やポスト構造主義は素材として私の表現言語を発展させ、また、色彩はいつも私の味方であり、私の思考と手を自由にした。無彩色と有彩色の彩りは画面を支配し、嵐のように吹き込み奇妙な形を成す。私の好む手法だ。インドでの強烈な色彩とその文化に囲まれての生活は、私の可能性を大いに引き出した。それらは死後の世界や胎内に居た時の懐かしい記憶、また永遠に続く世界を妄想し、夢うつつに引き込む力を私に与えた。いや、それは長らく現実感を喪失してきた私の、もしくはすがる様な行為から必然的に生まれたものだったのかもしれない。魔術的もしくは呪術的な祈りに似た何かだったのだろうか。訪れた地で歴史の重みはいつもクラクラするような目眩を伴い、私の眼前に突きつけられる。その情景は、人間の尊厳、呪縛、死、また排泄など、あまりにも普遍的で根源的な事柄だった。それを凝視する行為は私に重くのしかかり、ショッキングな残像を脳裏に焼き付けながらも血肉と化す。主観を排除し、イメージを可視化させ、表現に導いていく。この間、一連の形や、言葉、イメージが偶発する。着想に到達するまでにそれぞれはいつも強烈な色彩と線を伴って具象化が必要だった。さもなければそれらの体験や記憶のイメージ、また終わる事のない喪失感に飲み込まれ、永遠に故郷を失い途方にくれたまま、迷路をさまよい続ける出口のない恐怖に絡めとられそうだからだ。過ぎ行く瞬間は、私にとって非現実的であり、自らの回想の中でのみ状況は凍結し、現実となる。それは価値も寸法も色味もなにもないただの現実にすぎない。一種の無感覚状態が自分にとって一番リアルな感覚という矛盾を長らく持て余してきた。私にとっての「つくる」行為とは、大きなエネルギーと隠喩を伴った視覚的な遊びまたは爆発行為である。矛盾や呪われた状況と闘いつつ、彩り鮮やかなイマジネーションと共に、無邪気でありながらグロテスクな過激さをカオスの中に包括するような、そんな蠱惑的な物語を作品に秘めたいと願う。


[主な個展・グループ展]

2005 「FAF」ギャラリーGAN 青山, 東京
2008 「conversation1」タリーズ 麹町, 東京 (個展)
2009 「conversation2」Las chicas 青山, 東京 (個展)
2010 「OOOO」ギャラリーOOOO, 京都
2013 「TRANS_formation_migration」ギャラリー545,
          バンガロール, インド (個展)
2016 「Arteles open studios」Arteles
          クリエイティブセンター, Haukijärvi, フィンランド
        「Open studio with Gideon Appah & Asuka Nirasawa」
          Bag Factory Artists’studios, ヨハネスブルグ, 南アフリカ